wonderteaのまとめ置き場

読書関係で気になったことを調べてまとめています。SF・ミステリ・眉村卓など。時々二次創作。

真山仁wiki

ハゲタカがマイブームだったとき覚えに作ったリストですが最近アップデートしてないなー。

フィクション世界のトヨタ自動車

見かけたら追加

「波のうえの魔術師」豊海自動車

まつば銀行の第三者割当増資に応じる。

「マグマ」トヨハシ自動車

「ハゲタカ」「レッドゾーン」にもちらっとでてくる。「虚像の砦」ではPTBの株主。会長は岡崎会長。愛知県豊橋市にある。一応三河という設定。「連鎖破綻」では保険会社の株主。

「トップ・レフト」トミタ自動車

トルコに工場を開くため資金を調達する。

監査法人」のぞみ自動車

愛知に工場がある。名古屋制作のNHKドラマ。

ちょっと今から連邦やめてくる

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トド・カーツ元巡察官の話

え、あのラクザーン住民移転の件を取材してるんですか。退職したとはいえ守秘義務がありますから、公表されている以上に話せることはないんですよ。

そういえばもう1325星系は立入禁止になってますね。あの何事にもそつのないSQ1も停止してしまったのかな。あそこのロボット官僚たちは本当に統率が取れていて、訪れたことのある惑星のなかでもとりわけ見事な仕事ぶりでした。

それより私のことを知りたい? 巡察官に興味を持たれることは少ないので珍しいですね。たいしたエピソードはないんですが……。

巡察官は志望してなったんですよ。ご存知のように養成は途中まで司政官と同じ課程で、ロボット制御などの基礎を学んでからわかれます。教官の勧めや心理テストの結果で振り分けられる同期もいましたが、出世コースということで希望する人もあのころは多かったですね。

私は出世にはそれほど興味はなかったんですが、旅行が好きで。平凡な植民星の出身なので、巡察業務なら知らない世界に行けるんじゃないかって、単純な動機でした。確かに個人では行けない惑星をいろいろ回って、たまに息抜きに観光するのもよい経験でした。いちおう日程には休暇も含まれてますからね。

そして仕事にも慣れ中堅といわれるようになったころ、ラクザーン行きを命ぜられたんです。期間は定めなしということで、結局地球年の4年と少し滞在しました。

この巡察では新任司政官に対応することになってまして。自分の新人の頃を思い出すとなるべく力になってやりたいと思ってました。まあ、ああいう結果になってしまったわけですが。

そのこと自体を悔やんでいるわけじゃないんですよ。おたがい仕事ですからね。彼に恨まれることは仕方ない。ただ、後任のベテラン司政官から向けられた視線はね……こたえました。お前のやってることは連邦の狗か、と。いや直接言われたわけじゃないですが、そういうのは伝わってくるもんです。途中まで司政官と同じ課程にいたこともあって、業績が教材になるような人物といっしょに仕事ができることを光栄に思ってました。それなのに――ま、薄々自分でも思っていたことを突きつけられたということです。

というわけで、私は連邦職員を辞めました。しばらくは退職金もあるし使う暇のなかった給料も貯まっていたしで、あちこちの世界を旅してたんですが、ある日ふと、あの移転先ノジランはどうなったのかなと気になりました。自分の過去にケリをつけたかったのかもしれません。

到着してみると、その頃には住民はもうすっかり新しい生活を始めてました。で、開業したばかりのノジラニア軌道をのぞいてみたんです。巡察のときに聞き込みをしたこともある元公社が移転して出来た運輸会社で、こちらでも手広くやっているようでした。やり手の女性幹部も相変わらずだと思ったことを覚えています。

それで私のことですか? 彼女に求められていろいろアドバイスをしているうちに……結局ノジラニア軌道に居着くことになってしまって。形ばかりの役職をもらって、観光事業開発担当ということになってます。どこかお勧めの景色のいい惑星があったら教えてください。わが社の商品にしたいと思ってますのでね。その前に私が行って見てきますよ。

−−−−
あんたが辞めるんかい、というツッコミ待ちの話。
「インタビュー記事」のパロディが書きたかった。

初登場のところでマセよりだいぶ年上、とあるけどイメージ的に30代後半ぐらい?(マセ20代後半のイメージ)PKA4だから新人のマセのPPKA4と同格でそんなに年は離れてないんじゃないか、と思うんだけど出世に興味ない人なのかも。

設定としては巡察の途中で公社であるツラツリ交通とも接触があったということで。目ざといイルーヌはマセに逃げられたのでこの人を採用して新司政庁との交渉に利用したりしたのでしょう。2人が契約を結んだかは知りません。

(初稿:2020/02/12)

SQ2C宙港管理日誌・旅立つ船たち

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撤退期限2300日前

このたびの植民者移転で、私――SQ2Cは宙港業務の統括をまかされた。乗客をさばくのはもちろん、輸送船の発着管理も担当範囲である。私の手に余る案件が発生したときはSQ1が判断することになっている。

輸送船に対するサービスは一般的な推進剤や消耗品の補給、簡単な修繕ぐらいで、本格的な修理や改装が必要な場合は船団基地に帰って行うことになっていた。だから船に関してはそれほど困難な業務はなかろうと思っていたのだが。

問題は――輸送船は久しぶりに起こされた老植民船が多かったということである。 植民世界拡大が一段落しつつある昨今、大船団で植民者を運ぶという事業は減少しており、船たちはしばらく休眠させられていたようだ。もちろん船体の整備は基準どおりにすませて回航されてきている。

乗員には人間の船長と乗務員、船付きの補助ロボットもいるのだが、かれらとの意思疎通は船にとってまどろっこしく感じているらしい。私のようなコミュニケーションの取れる存在を「発見」した船たちはありとあらゆる要望を寄せてくる。

「係留ポートの座り心地が悪い。昔の宙港はもっと丁寧だった」
「突貫工事で拡張したのでしかたないんですよ。追加の資材が必要ならあるもので対応します」

「となりの船と相性が悪いから順番を変えてくれ」
「もうすぐ出港なんですから我慢してください。次に戻って来たとき配慮しますから」

「推進剤は他の種類のがいいんだが。不味い」
「うちには連邦標準のしかないんです。そちらの技術者に頼んでエンジンを調整してもらえませんか」

「積荷が偏っていて不愉快だ」
「補助ロボットに直させればいいでしょう。メッセージを送っておきます」

「護衛の連邦軍がうるさい」
連邦軍については司政機構の管轄外です。なんともなりません」

……知らんがな。業務効率化のために船と補助ロボットは私や主な部下と通信できるようにしてあるのだが、使い方を完全に間違っている。

「往時、新しい植民世界に向かう宙港はそりゃあにぎやかなものだった。船もひっきりなしに発着してて忙しくて……ところであんたたち役人はずっとこの惑星から離れられないのかい」
「そのようにプログラムされていますからね」
「わたしら船にとっては考えられない条件だな。じゃ、お達者で」

SQ1をわずらわせるほどでもない要望は久しぶりに起こされて話し相手がほしいだけなのかもしれない。私も適当にやり過ごすことにする。

初の出港準備を見守る総司令と総事務長、船長たちと司政官。かれら人間が船たちの言葉を直接聞くことはない。これから長いプロジェクトがはじまる。

「そろそろ時間ですよ」
司政官機にも呼ばれている。SQ2Aが伝令に行ったようだ。こちらも忙しくなりそうである。

−−−−
SQ2Cも大変だな、と宙港のシーンを読み返して思ったのでした。個人的にしゃべる船が好きなのだが、人間に対してしゃべる船なのかは不明。初期から司政官機や車も一種のロボットでお互い会話してたので(「炎と花びら」)、もっと大掛かりな宇宙船もロボットに対してはしゃべるよね、と思っている。

植民拡大が停滞して司政官制度が始まったのだから、植民船はしばらく使われてなかったのでは、と想像。あのケチな連邦が新造船をよこすわけがない。

地図見直したら司政庁は子午線と赤道の交差するところで、宙港はその付近なので赤道に近い打ち上げ有利な配置ということになるのか。

ところでSQ2Cって他の話にあまり出てこない?SQ2D以下は貸し出されたりするけど。SQ2A,Bは司政官付きと庁舎内担当なのだからSQ2Cは実質外回りのトップなのでは?

(初稿:2020/02/12)

先住者文書解読記録

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輸送船の発進が始まってしばらく経ったころ、先住者の住居を一体のロボットが訪ねていた。LQ9は坂道を登ってゆき、たどりついた入口から中に声をかけた。

「こんにちは。何か私にご用とか」

LQ9は定期的にこのミルル地区を訪問しているロボット官僚で、この移転計画以前から先住者たちと顔なじみである。今回は別の連絡ロボットを通じて呼び出しがあったのだ。

「お呼びだてしてすみませんな、ロボットのお役人。あなたがたにお渡ししたいと考えているものがありまして」

先住者の高位にある一人が書物の束を持ち出してきた。かなりの年月が経っているように見える。

「ずいぶん古いものですね」
「これは我々に伝わる伝承を書き記したものです。大元はわかりませんが、写本で伝えられるところからでも600レーン以上昔のもので、用紙を見分してもらえばはっきりするでしょう。1箇所からでは不十分でしたら他の地区にも同じものがあります」

そういうものがあれば収集するように、という命令が出ていた。

「それは上司が喜ぶと思います。ありがたく受け取ります」
「今の文字とは違っていますから、読み下してさしあげましょう。あなたなら聞いたものを記録して持ち帰ることができるでしょうから」

LQ9は下位とはいえLQ1桁系にあるロボットで、それくらいのことは簡単なのであった。科学センターの調査を手伝ったこともある。

勧めに応じてLQ9は住居にあがりこんだ。すぐに若い先住者の一人が出てきて、文書の読み上げが始まる。
LQ9は読み上げる声と同時に、その文面も映像で記録した。現物より先にデータを送信するつもりだ。
先住者の言語は以前から研究されており、人間の研究者とロボットによる蓄積がある。この音声と文をこれまで収集された語彙の歴史的変遷と照合すればよい。SQ1なら内容はすぐに分析できるであろうと思われた。

朗読が終わり、データ処理を終えたLQ9は言った。

「正確なことは司政庁の分析を待たないとわかりませんが、もはやあなたがたは……」
「そういうことです。昔から決まっていた定めなのです。これで司政官にも納得いただけるとよいのですが」

先住者との付き合いが長いLQ9にはわかった。かれらが他の惑星へ退避するつもりがないことを。しかし人間の司政官やSQ1を納得させるには証拠となるものが必要なのだ。


それから――長いようで短い日々が過ぎた。他の地区担当ロボットも同じ文書を確認した。海底からは3000レーン以上前と推定される遺物が発見された。それらも総合すると、文書に書かれた古代文明が存在し滅んだことは確実のようだ。
司政官自身も何度かこの地区を訪れ、得るところがあったらしい。先住者が他の世界に移転することはないと結論が出ていた。

「何かご用は……なさそうですね」

とくに仕事があるわけではないが、今もたびたびLQ9はこの住居にやってくる。人間たちはかなりの数が旅立ち、かつて古文書を手渡してくれた先住者も、天に帰った。

「そのようですね」
「われわれロボットは残ります。もともと他の世界に行くことはできないのです。他の太陽の元で生きられないあなたがたと同じで」

相手をするのはあの文書を読み上げてくれた若い先住者だ。先住者も残り少なくなっている。太陽の変化とともに一種の……ロボットには感知できない存在になってゆくのだ。

「近ごろはこの光景を少しでも記録に残したいという衝動にかられます」

坂の上の住居から宙港方面を眺めながらLQ9は記録機能を起動した。直接には見えなくとも上空には毎日、宙港に発着する船が行き交っているはずだ。

「どうぞ、よろしいように。物質としての私たちの遺産は残らないかもしれません」
「かまいません。われわれは機能を停止するまでできる仕事を続けるだけです」

かれらは輸送船の残した軌跡を見上げながら佇んでいた。日暮れ前の太陽はまだ、輝いている。

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最後に残るロボットと先住者が空を見上げる、というところが描きたかった話。

本文によると徴税チームにLQ系上位が引き抜かれたので辺境業務はそれより下位のロボットが埋めていることになっている。ミルル地区は元々それほど上級でないロボットがいて引き続き同じ担当者だということで。

(初稿:2020/02/12)

SQ1日誌 蛇足・ラクザーン残日録

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○月×日

残務整理も終わり、司政官はとりあえず15星系に帰任することになった。私の裁量で、宙港で船に乗り込む瞬間までを任期としている。

公務室のデスクを片付け終わった司政官が言う。

「きみ、やっぱり私といっしょに来ないか?」
「それは不可能です」

そういうセリフはあの海洋研究員に言いなはれ。

私はこの惑星に最適化されており、他の場所に移設することはできない。部下たちも私のコントロール下になければ能力を発揮できないのだ。そもそも連邦からの「ロボットは放棄する」という命令には逆らえない。初めからわかっていたことだ。

「……だろうね。ずいぶん世話になった。ありがとう」
「おつかれさまでした」

司政官は立ち上がってから公務室をひととおり眺めた。

「さよなら、初めてのSQ1」
「ほな、お元気で。私の最後の司政官」

こうして私たちは別れた。もう決して会うことはない人間と。
さて――これからどないして過ごしましょか。


おしまい。
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大阪弁参考資料:田辺聖子『おせいさんの落語』
(結局あんまり使えなかったけど)書き言葉としての大阪弁の参考に。1971~1974年ごろの初出なので1976年から連載の本作とほぼ同年代としてよかろう、というのは後付けでたまたま手元に電子版があったから。大阪弁搭載のロボットネタもあるし。もう連邦公用語のひとつは大阪弁ということで。


この話、ロボットの立場から考えると最初から最後が約束されているという。『引き潮のとき』で増えてるという閉鎖された司政庁ってロボットはそのままなのかな?

ところでこのSQシリーズの祖先は「表と裏」の技術将校ワキタ少尉が設計したことに私の中ではなっている。自分が滅亡すると知っていても目的を果たすわれわれの方が人間より幸せ、という人工知能の本音を聞いた唯一の人間かもしれない。宇宙空軍はのちに発展して連邦軍になったとさ。

(初稿:2020/02/12)

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SQ1日誌4・ラクザーン残日録

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○月×日

植民者の退避はほぼ終了した。あとは待命司政官から復位した司政官と取りまとめる残務のみである。
先住者たちはわれわれロボットの感知できない領域に行ってしまったようだ。

先住者の住居は消滅したが、以前託された古文書と古代文明の遺物が残されている。これは私の書庫に保存しておくことにしよう。当時は結論を急いでいたので充分な分析とは言い難い。また折を見て研究を再開してもいい。報告のあてはなくなったが、仕事を中途半端で終わらせておくのは気分がよくない。

司政官あてには先に移転した科学センターの海洋研究員からメッセージが送られてきている。連邦職員間の通信手段でいつでも返事はできるだろうし、もちろん私も連絡先を把握している。

――いかがなさいますか?


おわり。

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SQ1は当時感じたことを別にメモ(比喩)していて、現在形で人間に読める形で出力しているということで。

おせっかいなSQ1というのが書きたかっただけかもしれない。ここのSQ1ほんと気配りがすごすぎる。いや個人が好きでサービスしてるわけではなく、その方が任務遂行に役立つと判断しているからやっているのでしょう。そこが眉村ロボットのいいところ。

電子版でロボットの名前(?)で検索するとダブって使われてるのがいる。複数いるのかもしれないけど、上級のロボットを増やす余裕はなさそうなので、理屈をつけてみました。
SQ2B3はいつも庁舎内を案内していて、これは統一されてる。

(初稿:2020/02/12)

SQ1日誌3・ラクザーン残日録

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○月×日

司政官の交代があった。正確には前司政官は待命司政官の立場となり、新たに移転先1401星系の司政官がこちらとの兼務となった。
私は連邦の決定に従うだけである。現司政官の命令しか聞くことができないのだから。移転計画への影響を測るにはデータが不足である。

新司政官はベテランで連邦中央にも評価されている人物のようだ。この年代の人間の命令の出し方は懐かしいものがある。かつてロボット官僚が硬直的だったころの癖が抜けないのであろう。私たちは学習によって対人間コミュニケーション能力を進化させており、今ではかなり柔軟な対応をとれるのだが。あの頃の司政官の皆さん正直すみませんでした。

待命司政官にはSQ2Eをつけるよう進言しておいた。SQ2Eは徴税チームにいたが、一段落したので引き抜いてある。なるべく高性能な部下を回してやろう。彼の日常はそちらから伝わってくるだろう。

○月×日

連邦軍が暴動を抑えているため、植民者移転計画は順調に進んでいる。私の頭越しに何かされているのは納得いかないが、治安部隊も数を減らしてしまった今、司政庁にはどうすることもできない。

あの高圧的に乗り込んできた元軍人の連邦高官は一連の動きに関係しているのだろうか? PA級査証を盾に入港前照会を拒絶したことを私は未だに根に持っている。が、判断するにはこれもデータが不足である。

○月×日

待命司政官の面会条件が緩和された。おなじみの海洋研究員も訪ねているようだ。面会要請には最優先で承認を出しておいた。もう契約でもなんでもすればええねん。泣かすな。知らんけど。

SQ1日誌2・ラクザーン残日録

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○月×日

科学センターからは海洋研究員が時折訪ねてくる。彼女は海藻の研究をしていて、太陽の変化に伴う海藻の変異を報告している。また先住者とも親しく、その人脈は司政機構に役立つと思われる。

さらに彼女は司政官に興味を持っているようで、私の分析するところ――司政官もまんざらでもなさそうである。人間の感情が直接わかるわけではないが、会話と表情パターンの照合をすれば当たらずとも遠からずであろう。なお、司政官たちは表情コントロールができていると思っているようだがバレバレである。私は人間の表情とその反応について、対人業務につく部下からのデータを大量に蓄積している。

通常司政官のプライベートには関与しないが、業務を円滑に進めるため、彼女の面会優先順位を上げて何かの折には様子を知らせることにしよう。人間も自分の感情がわかっていないのである。世話やけるわ。

○月×日

緊急指揮権の認可が連邦から届いた。これについて巡察官が会見に来るとのことで予定を調整し、迎え入れる。まだ遠方へ調査に向かう必要があるとのことで、護衛として現在のSQ2Fと配下、追加の戦闘員に加え補佐にSQ3Aをつけてやることにした。いずれにしても能力の足りない部分は私が直接入りながらデータを収集している。SQ3Aは以前無人機事故をやらかしたことがあるが、今回のような副官業務なら問題あるまい。植民者移転に向けて上級職員を手放すことは難しい。今のところ巡察官の生命保証は優先順位が低い。

○月×日

植民者からの反発を感じる。名簿収集業務や徴税担当の部下が何体も破壊された。暴動は組織的に引き起こされている可能性もある。尋問から得られたデータを分析したところ、連邦軍の関与が濃厚という結論になった。司政官にも進言したが、われわれには手の出しようがない。

司政庁に危険が迫ることがあるのだろうか。司政官の生命を奪われる、ということが再びあってはならない。現在の至上命令である移転計画に支障を来す。