SQ1日誌3・ラクザーン残日録
○月×日
司政官の交代があった。正確には前司政官は待命司政官の立場となり、新たに移転先1401星系の司政官がこちらとの兼務となった。
私は連邦の決定に従うだけである。現司政官の命令しか聞くことができないのだから。移転計画への影響を測るにはデータが不足である。
新司政官はベテランで連邦中央にも評価されている人物のようだ。この年代の人間の命令の出し方は懐かしいものがある。かつてロボット官僚が硬直的だったころの癖が抜けないのであろう。私たちは学習によって対人間コミュニケーション能力を進化させており、今ではかなり柔軟な対応をとれるのだが。あの頃の司政官の皆さん正直すみませんでした。
待命司政官にはSQ2Eをつけるよう進言しておいた。SQ2Eは徴税チームにいたが、一段落したので引き抜いてある。なるべく高性能な部下を回してやろう。彼の日常はそちらから伝わってくるだろう。
○月×日
連邦軍が暴動を抑えているため、植民者移転計画は順調に進んでいる。私の頭越しに何かされているのは納得いかないが、治安部隊も数を減らしてしまった今、司政庁にはどうすることもできない。
あの高圧的に乗り込んできた元軍人の連邦高官は一連の動きに関係しているのだろうか? PA級査証を盾に入港前照会を拒絶したことを私は未だに根に持っている。が、判断するにはこれもデータが不足である。
○月×日
待命司政官の面会条件が緩和された。おなじみの海洋研究員も訪ねているようだ。面会要請には最優先で承認を出しておいた。もう契約でもなんでもすればええねん。泣かすな。知らんけど。