wonderteaのまとめ置き場

読書関係で気になったことを調べてまとめています。SF・ミステリ・眉村卓など。時々二次創作。

SQ1日誌2・ラクザーン残日録

<二次創作目次に戻る>

○月×日

科学センターからは海洋研究員が時折訪ねてくる。彼女は海藻の研究をしていて、太陽の変化に伴う海藻の変異を報告している。また先住者とも親しく、その人脈は司政機構に役立つと思われる。

さらに彼女は司政官に興味を持っているようで、私の分析するところ――司政官もまんざらでもなさそうである。人間の感情が直接わかるわけではないが、会話と表情パターンの照合をすれば当たらずとも遠からずであろう。なお、司政官たちは表情コントロールができていると思っているようだがバレバレである。私は人間の表情とその反応について、対人業務につく部下からのデータを大量に蓄積している。

通常司政官のプライベートには関与しないが、業務を円滑に進めるため、彼女の面会優先順位を上げて何かの折には様子を知らせることにしよう。人間も自分の感情がわかっていないのである。世話やけるわ。

○月×日

緊急指揮権の認可が連邦から届いた。これについて巡察官が会見に来るとのことで予定を調整し、迎え入れる。まだ遠方へ調査に向かう必要があるとのことで、護衛として現在のSQ2Fと配下、追加の戦闘員に加え補佐にSQ3Aをつけてやることにした。いずれにしても能力の足りない部分は私が直接入りながらデータを収集している。SQ3Aは以前無人機事故をやらかしたことがあるが、今回のような副官業務なら問題あるまい。植民者移転に向けて上級職員を手放すことは難しい。今のところ巡察官の生命保証は優先順位が低い。

○月×日

植民者からの反発を感じる。名簿収集業務や徴税担当の部下が何体も破壊された。暴動は組織的に引き起こされている可能性もある。尋問から得られたデータを分析したところ、連邦軍の関与が濃厚という結論になった。司政官にも進言したが、われわれには手の出しようがない。

司政庁に危険が迫ることがあるのだろうか。司政官の生命を奪われる、ということが再びあってはならない。現在の至上命令である移転計画に支障を来す。