wonderteaのまとめ置き場

読書関係で気になったことを調べてまとめています。SF・ミステリ・眉村卓など。時々二次創作。

プレ司政官シリーズと思われる作品

というか全体的に宇宙連邦シリーズなのかも。

カルガイスト星域惑星キガテンが舞台。連邦軍が惑星を次々と征服していった時代のエピソード。惑星生物の研究を進める軍であったが、その生物を愛玩用として飼いたいという要請があって…。0星系、ミドルネーム・助手ロボットなど、司政官シリーズを知っている人には「おおっ」と思えるネタ満載。久々のミレニアム・ボーナストラックといったところでしょうか。運用士官イヌイ・PSS・キオカ=CBがまたまた苦労しています。がんばれ。上司が女性、というところがいい。

  • 「悪夢と移民」(収録:「重力地獄」 ハヤカワ文庫 1973/角川文庫 1978)  

植民者を運ぶ宇宙船の乗組員が主人公の話。乗組員は「専門家」と称し、エリート意識を持って植民者たちを見下しているのだが、「専門家」崩れの女と出会った主人公は、植民惑星に着いたときにやっぱりトホホなオチに遭遇してしまうのだった。……ウサギ型の原住民などが登場。植民済みの389星系のそばを通る。

  • 「惑星総長」(収録:「万国博がやってくる」早川書房 1968・「還らざる空」ハヤカワ文庫 1975)  

植民惑星の住民の中から選ばれ、三権を統合する「惑星総長」の話。任期は20年。総長庁があり、原住民は食用になり(!)おとなしい。地球連邦から援助を決定するため「査察官」が見回りに来る。新総長はだらけた文化を復興すべく奮闘するが……これも結構シビアな話。

司政官シリーズ年代記

掲載順序 司政官制度開始から 作品タイトル(収録書名) 舞台惑星(星系番号−惑星番号) 司政官ミドルネーム 巡察官ミドルネーム ロボット官僚その他特記事項
0 長い暁(長い暁) ミローゼン(201-2) PPK なし SQ外に出る。以下SQ2など15体。司政庁がまだなく、軍と同居
? 照り返しの丘(長い暁) テルセン(457-2) PPK なし SQ1外に出る。SQ2随行チーフ。一惑星に任期5年以内との内規あり
? 炎と花びら(司政官) サルルニン(925-?) PPK なし SQ1庁舎内のみ。SQ2随行チーフ。カルガイスト1世軍人現役,孫が司政官学習中
? 扉のひらくとき(長い暁) ゼクテン(104-1) PPK なし SQ1庁舎内のみ。SQ2随行チーフ。未だに男性中心社会制度
3-40 遥かなる真昼(司政官) ネネギン(?-?) PPK なし SQ1庁舎内のみ。SQ2A随行チーフ。制度が軌道に乗り始めて30年なので発足からは40年ぐらいか
50 遺跡の風(司政官) タユネイン(?-?) PPKA-D PKA-D SQ1庁舎内のみだが可動型か描写なし。SQ2A随行チーフ。カルガイストJr(孫のことか)司政官実習失格,司政官を引退すると連邦直属市民の特権あり
70 限界のヤヌス(司政官) ガンガゼン(?-?) PPKA-D(PPKEは待命司政官) PKA-D SQ1据置型に。SQ2A随行チーフ。カルガイスト3世軍人
8-100? 消滅の光輪 ラクザーン(1325-1) PPK.A-D.1-4(PPKBは待命司政官) PK.A-D.1-4 SQ1据置型。SQ2A随行チーフ。カルガイスト5世軍人(BC),10年前に実習廃止
100年以上? 引き潮のとき タトラデン(1003-3) PPK1-4 PK1-4 SQ1据置型。SQ2A随行チーフ。十数年前にミドルネーム変更

昔HTML書いてホームページ作ってた頃にまとめたもの。当時はブラウザの機能で年代順と発表順に並び替えができたのだが、今はできないのかな。スマホ版だと無理か。
ロボット官僚について追加。発展経緯がちゃんと年代順になっていることに改めて感動。(2020/01/26)

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「産業将校」シリーズ

産業将校……日本の産業界を牛耳る謎のエリート集団。中学を卒業した見込みのある生徒をスカウトして「産業士官学校」へ入学させる。7年のエリート教育の後デビュー(21歳)。社会で暗躍する。

産業士官学校入学案内
入学案内

起工 1975年
開校 1980年
入学資格:中学卒業見込み者のみ
修養年限:7年

格安寮完備!
家庭の事情を考慮して、支度金制度もあります。
卒業生は各種社会的活動に従事します。

大活躍の先輩の声:第一期生・三津田昇助くん
「候補生の皆さん、こんにちは。僕はいまビッグなプロジェクトにかかわっています。その内容はまだ秘密です。大学なんか卒業しなくてもいいじゃないか。一緒に社会を変えていこう!!」

願書はお近くの新大阪工業社員まで。

作品タイトル(「収録書名」版元,発行年 新=ハヤカワSFシリーズ新書版)

  • 「産業士官候補生」(収録:「産業士官候補生」 (早川/角川 74/78 )

登場産業将校:三津田昇助(第1期生・3年生)・上田宏(第3期生・1年生)・小松原和子(同)
上田宏は才能はあるが、貧しい家庭に育つ少年だった。ある日、新大阪工業という会社のスカウトがやってきた。彼を大卒以上の待遇で迎えるというのだ。入社した宏は「産業士官学校」に入学する。そこには元同級生の和子もいた……学園もののパターンを社会派SFにしてみました、という感じ。

  • 「EXPO’87」(収録:EXPO’87 早川新/早川文庫/角川文庫 ,68/73/78)

登場産業将校:三津田昇助
前回特集参照。

  • 「ガーディアン」(収録:「産業士官候補生」 (早川/角川 74/78 )

登場産業将校:なし
「安全に危険を楽しむ」冒険的レジャーが盛んになった時代。「ガーディアン」という専門のガイドの主人公の遭遇した客は……。ショートショートっぽいオチ。で、産業将校は前フリに「産業士官学校主催のセミナー」が開催されるという所に出てくるだけですが。また、「実感装置」前回特集参照は普及しているらしい。

「ビッグ・タレント」シリーズ

ビッグ・タレント……芸術全般に優れた芸能人。回りにブレーンの「ルーム員」を集めて活動する。ルーム員から新しいタレントが生まれる。マスコミに自分を売ることが職業なのでいつも疲れている。先生とよばれ、面会時間をチケット制で売ったりもする(人気に応じて値段が上下するシビアな世界)。

書かれた当時の日本に密着しすぎた設定のせいか、今となっては泥臭い印象が強い。しかし、この生まじめさが眉村作品の魅力。

作品タイトル(「収録書名」版元,発行年 新=ハヤカワSFシリーズ新書版)

  • 「契約締結命令」(収録:「万国博がやってくる」早川新,68)

登場タレント:高原俊児
「無任所要員」参照

  • 「よじのぼる」(収録:「虹は消えた」早川新,69/「サロンは終わった」早川,74)

登場タレント:大牟田暁一,植野和也
大牟田の人気を不動のものとするためヤラセでルーム員から若手タレントに成り上がった植野。やがて本当に野心を抱くようになり……暗いムードの漂うラスト。やめときゃいいのに、といいたくなった。あとがきによるとハッピーエンドを初めは考えていたらしいのだが、検討の結果こうなったとのこと。

  • 「ぼくの場合」(収録:「虹は消えた」早川新,69/「サロンは終わった」早川,74)

登場タレント:無し
ビッグタレントそのものは登場しないが、主人公の「ぼく」はルーム員養成所の講師もしている、というくすぐりが入る。にやりとする瞬間。超過労社会の話。

  • 「EXPO’87」(収録:EXPO’87 早川新/早川文庫/角川文庫 ,68/73/78)

登場タレント:朝倉遼一
1987年、東海道メガロポリスで開催される万博。この展示品「実感装置」を巡って産業界は揺れていた。そこに現れた謎の「産業将校」と呼ばれる者が朝倉と対決する……この作品はその他にも眉村キャラクターオンパレード!の中間決算的作品。

    • 「無任所要員」(前回特集参照)のパイオニア・サービスは中之島財閥の系列だということが分かる。
    • 「クイズマン」(収録:「準B級市民」 早川新 72/ 「産業士官候補生」 早川/角川 74/78 )はビッグタレントのなり損ない。
    • 「家庭管理士」(収録:「ながいながい午睡」 三一書房新 68 )も世間に広まっている。等級がある。

「無任所要員」シリーズ

無任所要員……それは国家さえも動かす万能サービス業者「パイオニア・サービス会社」の裏工作を受け持つ特別社員である。その一人、杉岡勉は不特定の任務を請け負うことを誇りとしていた。今日も彼に部長からの命令が下される!!
この会社がまた、あくどいんだな。司政官シリーズの連邦経営機構といい勝負である。

社会派SFですが、割と軽い感じの導入部が多く、石原藤夫の「惑星シリーズ」を彷彿とさせます。どちらかというと杉岡は主人公ではなく狂言回しのような役割。主人公がひどい目に遭うのを端で見ている。

作品タイトル(「収録書名」版元,発行年 新=ハヤカワSFシリーズ新書版)

  • 「工事中止命令」(収録:「産業士官候補生」早川文庫/角川文庫,74/78・「万国博がやってくる」早川新,68)

南米の某国でロボットによる工事が行われていた。が、採算が合わないため発注した業者は工事を中止しようとする。そのため杉岡は頑固な工事用ロボットの総帥を説得しなければならない……。この1号(ロボットの名前)は実体があるだけにSQ1より始末に負えないのだ。最後の「よきライバルだった」感がいかにも。前半の部長との軽妙な会話はなかなか楽しい。

  • 「虹は消えた」(収録:「産業士官候補生」早川文庫/角川文庫,74/78・「虹は消えた」早川新,69)

杉岡はベテラン所員・大塚と組んでアフリカのある小国を復興させよとの命令を受けた。「虹の玉」を製造して、経済を立て直し、王妃に気に入られた大塚は貴族になったが……。若者と中年の断絶が隠しテーマ?本文の構成も凝っている。
虹の玉は反応卵(@引き潮のとき)っぽい。こういうガジェット好きなんだろうな。

  • 「最後の手段」(収録:「産業士官候補生」早川文庫/角川文庫,74/78・「虹は消えた」早川新,69)

イオニア・サービスの専門社員南条は無任所要員の杉岡とサイボーグ医療に関するプロジェクトを進めることになった。しかし有力者だけを救う医療だと知った南条は辞職し、良心派の医師と組んで会社を敵に回す……今回は杉岡は脇役。しかし暗躍する無任所要員の実力と、なにがあろうと会社にとどまることの哀しさを見事に表している……?

  • 「契約締結命令」(収録:「万国博がやってくる」早川新,68)

すでにベテランとなった杉岡と新人森田は、ビッグ・タレントの高原とパイオニア・サービスとの専属契約を結ばせようとしていた。森田は高原に近づいてチャンスをうかがうが……冒頭の杉岡の上司へのグチが眉村作品には珍しい。そして、ラストの一行にはあっけにとられること請け合い。一抹の寂しさというか、やけっぱちを感じることでしょう。この作品だけは文庫未収録で手に入りにくいです。


※「契約締結命令」ネタバレあらすじ※




すでにベテランとなった杉岡と新人・森田は、ビッグ・タレント(何でもこなす芸能人兼芸術家)の高原とパイオニアサービスとの専属契約を結ばせようとしていた。杉岡に対抗意識を持つ森田は独断で高原に近づいてチャンスをうかがうが、失敗する。だが、高原が破いた契約書には杉岡の配慮により薬がしみこませてあったのだ。気を失っている内にセクソイドロボットの虜となった高原は意のままに操れるはずだった。

やがて、森田も経験を積んだ頃、再び杉岡に会う。彼の話によると高原はロボットにのめり込み、ノイローゼが高じて廃人同様になり死んだという。ビッグ・タレントなど消耗品であり、自分たちのようなインサイダーこそが社会に役立つのだ、たいしたことはない、と森田に説く杉岡。そして……森田も、そのとおりだと思うのであった。

キタ一族の陰謀

眉村作品によく登場する謎の一族!今回はこの謎に迫ってみよう。以下にその主要メンバーを掲げる。

  • 北 勉(きた・つとむ)

「とらえられたスクールバス」に登場。中学の国語教師。学生時代にやった剣道、柔道が得意。当時独身。タイムスリップに巻き込まれるが、その行動力で生徒たちを導き無事エンディングを迎える。あだ名は「ホクベン」。

  • キタ

使節」(「準B級市民」早川新 72・「重力地獄」早川/角川 73/78所収)に登場。宇宙船に乗り込んでいる生物学者。宇宙人の習性?に悩まされながらも船を無事に地球へ帰還させ、使節を遇した。専門に関していろいろ蘊蓄を述べるのが少々煙たがられているようだ。

  • キタ・PPK4・カノ=ビア

「引き潮のとき」に登場。連邦経営機構所属・惑星担当司政官。植民者であった両親を早くなくし、惑星タトラデンの養育院で成長。以後連邦中央で学ぶ。極秘任務を負わされ、故郷に赴任。得意技はダンス。とりあえず独身。


……時空を越えるキタ一族。共通しているのはみなさん真面目で頭が良く責任感が強いという。いつか必ず宇宙はキタ一族のものになるでしょう。それではこの辺で。

学園天国

眉村卓といえば代表作としてあげられることの多いジュヴナイル・学園モノをまとめてみました。(私はほとんど同世代じゃなかったのが残念なのですが)
主人公の年齢で区分してみました。案外中学生ものが多かったのでびっくり。何となく高校生ものが多いと思っていました。
(出版事項は最初に記事を作成したときのメモ。再刊されたものも多いので各自ご確認ください)

舞台・登場人物が中学

  • 中学1年

現れて去るもの(「モーレツ教師」角川 )……?大阪の中学1年
闇から来た少女(「二十四時間の侵入者」 秋元/角川)……大阪・今池中学1年
地獄の才能(角川)……笹岡中学1年
天才はつくられる (角川/秋元)……高岡中学1年
ねじれた町 (すばる書房/秋元/角川)……笹野原中学1年
二十四時間の侵入者(「同上」)……?中学1年
まぼろしのペンフレンド (「同上」 )……東京・五月台中学1年

  • 中学2年

ねらわれた学園( 角川) ……阿倍野六中2年
闇からのゆうわく(「深夜放送のハプニング」角川 )……石塚中学
閉ざされた時間割 (「閉ざされた時間割」 角川/秋元)……?中学2年
なぞの転校生 (「なぞの転校生」 盛光社/角川/秋元)……大阪・阿南中学2年
さすらいの終幕(「地球への遠い道」角川)……陵西中学2年
寒い朝(「里沙の日記 」集英社コバルト)……本町中学2年
門中学生(「同上」)……大特中学2年

  • 中学3年

つくられた明日( 秋元/角川)……青陵中学3年
白い不等式( 秋元/角川)……中学3年

  • 不明

暗い進行形(「里沙の日記 」集英社コバルト)……平明中学?年
目がさめると…(「同上」)……?中学?年
ゲームのメンバー(「同上」)……?中学?年
テスト(「同上」)……上町中学

舞台・登場人物が高校

押しかけ教師(「閉ざされた時間割」 角川/秋元)……南稜高校
侵入を阻止せよ(集英コバルト)……陵北高校2年
とらえられたスクールバス(改題「時空の旅人」角川)……洋心学園高等部2年
里沙の日記(「里沙の日記」 集英社コバルト)……?高校1年

植民省庶務二課

前回に続いて眉村卓作品中の女性の登場人物について考えてみます。今回は人外を中心に。古い作品はネタバレ気味かも。
◆眉村作品の元気のいい女性キャラクターはやっぱり夫人の投影だったのでしょうか。いつもボーっとした主人公の背中をドンと押して、さっさと先を歩いてゆく。「ついてきたかったら、ついてくれば?」とでも言いたげに颯爽と立ち去る彼女たち。
◆未来の婚姻形態を描くとき、「契約」という形式が多いのも、こういう女性たちに入籍だの尽くす女だのは似合わないからか。むしろ君が尽くせ!

  • ユカリ 「わがセクソイド」(角川文庫)

娼婦として開発されたアンドロイド。サラリーマンの年夫となじみになるが、再調整されて彼のことを忘れてしまう日が近づいていた。一方、青春の志を忘れられない年夫は思いきった行動に出る。
★わりと勘違いしがちだけど、このユカリが忠実なのは通ってくるお客に対してではなくて、自分の中のプログラム「人間に奉仕する」ということに、なんだよね。そこがいじらしい。ロボットの中でもおちこぼれというところもツボ。だんだん機能が狂っていって年夫ひとすじ!に壮絶な結末を迎えるけど、これも「人間全般」から「個人」にプログラムが変わってしまっただけのことなんだよな、ロボットにとっては。社会描写なんかがリキ入ってて今読むとアレだが、ユカリちゃんめあてで私は年に1回くらいは読み返す小説。

  • シノニア 「かれらの中の海」(講談社文庫)

地球を監視にきた銀河連邦職員の一人で人間に酷似した外見をもつ宇宙人。地球人を見下していたが、自殺しようとしていた晴夫と協力して地球に有利な方向へ社会を導こうとする。
★セクハラオヤジは銃殺刑!って感じの地球に不慣れな頃がかわいい。いやあのね姐さん……。ラストは地球で生きる意欲に燃えて晴夫をどやしつけてるし。美人OL和田律子も生きるためには何でもするしたたかさが、いい(男性作家の中には女に汚れ役をやらせない人もいるがそれはなんか違うぞ)。本編は環境問題を先取りしたシリアス社会派SFなところがみどころ……だったんだろうけど、今読むと銀河連邦司令が中間管理職っぽいとか、そっちのほうがおもしろい。

  • パキーネ 「わがパキーネ」(収録:「人獣怪婚」ちくま文庫・「重力地獄」角川文庫)

宇宙人ユーカロ族の一人で地球にホームステイしている。金銭目当てでホスト役を引き受けたテツヤにはだんだん彼女が美しく見えてくるが……。
★眉村作品は、宇宙人と接触が始まってからのあれこれを描く「セカンド・コンタクト」ものに傑作が多い気がします。これもそんな設定。容姿がみにくいと思われることを気にしない、というのが潔い。別れのシーンはせつないねえ。関係ないけどラストで「郵便は政府関係からか星間連絡くらいなものだ」という記述があって、メール全盛の今を予測していたみたいだ。あと、食事をつくる独身男に感心。

  • エレン・エレスコブ 「不定エスパー」(徳間文庫)

名家令嬢。不定エスパーのイシター・ロウの雇い主。反政府運動などに関わり護衛を必要としていた。
★いやあ、お嬢様なのにこの行動力。かっこいい。普通のお嬢様は政治活動やアジ演説なんかしません。8巻もの長さを支えたのも魅力的な女たちあってこそ。ラストシーン、いいなあ。ロウ、この幸せ者〜。パイナン隊長が男前だと証言してくれたのもこの方。「男前」って言葉がこの人の口から出るのも想像するとおかしいんだけど。

  • シェーラ 「不定エスパー」(徳間文庫)

エレスコブ家の使用人。護衛員たちの世話係、実は……?
★初めにロウに近づくシーン、笑っちゃいました。眉村作品で珍しく色仕掛けが見られます!?(←うそは言っていない)主人公のピンチにあらわれ助けて去っていく。いいじゃないですか。この作品、女たちがみんなしてロウをいじり倒す小説なんだろうか……。

OL進化論

今回はずっと気になっていた眉村作品の中の「いい女」について考えてみました。眉村作品ではカッコイイ女性がたくさん登場しています。(かなりネタバレになってますが、発表後かなり経っているので許してね)
◆全体を通して感じるのは「女性が意味なく登場している」こと。SFって主人公のデフォルトは男なので、どうしても女性キャラは意味を持ってしまうんですが(主人公の恋人や家族、お色気専担も含む)、このさりげなさがいい。


学園もの

突然生徒会長に就任し、学園乗っ取りをたくらむ超能力少女。未来から来た少年と組み、世界を変えようとする。
★何度も映像化されている名作ですね。この作品は女の子の強さが印象深いです。敵役、サブの敵役、対抗者……主役はいちおう男子生徒だってことは忘れられがち。対決するのが普通の少女ってところもいい。ラストの決め台詞には余韻が残る。
「いいえ。これはただの予感」――眉村作品の男は年齢を問わずボケだと思う。女性はツッコミ。

人間世界を支配するため異次元から送り込まれた美少女アンドロイド。ペンフレンドとして少年に接近する。
★これもドラマ化あり。だんだん感情を持つようになって、監禁していた少年を思わずかばってしまうところが見どころでしょう。負傷して機械部分のあらわになった左手を「見ないで!」ってシーン……涙ものだよ。あまり言及されていませんが、侵略拠点を守っていたロボットたちも敵役ながら忠実さが泣かせる。ロボットものとしても名作なのでは。


サラリーマンもの

  • 鷹井戸さん 「スーパーレディ」(ケイブンシャ文庫「職場、好きですか?」収録)

女性が重視されている会社の中でもデキる女性社員。結婚しても夫が主夫をして子どもまで……?
★サラリーマンSFとされるジャンルにもOLショートショート多し(他に同出版社から「こんにちは、花子さん」も)。女性がちゃんと活躍している情景を描くのがうまいと思います。ただ役職に就ければいいってものではなく。この人、究極のキャリアウーマンですね。

司政官シリーズ

  • メルニア・PPK4・レクス 「引き潮のとき」(早川書房ハードカバー)

貴族の令嬢だが自分の惑星を離れ連邦官養成コースを歩む。同期生キタとは同志的関係。軍隊の指揮官経験あり。
★個人的に一番好き。いつもはきりっとした態度なのに、キタの赴任に際してちょっと感傷的になるカワイイ面も。大長編の冒頭に彼女が出ていなかったら読み通せたか分かりません。このサイトを立ち上げることもなかったでしょう。「引き潮のとき」には、先住民の族長や敏腕記者、名家コーディネーターなどいい味出している女性がたくさん出てきます。そういう意味でも好きな作品。

その他SF

  • 美那子 「奇妙な妻」(「奇妙な妻」ハヤカワ文庫・角川文庫収録)

主人公・宏平の妻。会社が倒産して路頭に迷っている宏平に割のいいアルバイトを紹介する。
★タイトルから分かるとおり、妙な行動を取る妻がキーポイントの短編。この夫婦、ほのぼのしててなんかいいなあ。ストーリーの中核は宇宙戦争シーンなんだろうけど、会話とか出会いのエピソードとかのイメージが強くて。

こんな金融界はいやだ!

経済もの小説にはまっていたとき考えたネタです。

高杉良が社長
顧問弁護士が牛島信


メインバンクの支店長が池井戸潤
人事部長が江上剛
為替部門が黒木亮
フィナンシャルアドバイザーが幸田真音


経済誌記者が真山仁
金融庁長官が松島令