この短編がすごい!年鑑
その年に発表された短編を総括している年鑑についてまとめてみました。国内フィクション限定。
短編小説が好きなので、その年のベストな短編は何でわかるのかなあと軽い気持ちで調べ始めたら、古いところは意外と変遷がめんどくさいことがわかった。国会図書館NDL-OPAC調べ。納本されてない部分は未詳。近年分は手持ちの蔵書と図書館で現物確認。
- 凡例(表記年版:刊行年)特記なき場合は刊行年
ミステリ
「ザ・ベストミステリーズ:推理小説年鑑(刊行年=表示年)」(1998〜)「推理小説代表作選集:推理小説年鑑」(1968〜1997)「探偵小説年鑑」等
参考:公式サイトhttp://www.mystery.or.jp/pages/nt_katsudou
文庫化あり。講談社文庫は近年はセレクション。
個人的に昔から一番信頼していたミステリアンソロジー。しかし近年はどんどん収録作品数が減っているのが残念。文庫化されるときも減ってる。
推理作家協会賞候補作を含むが刊行時点では受賞作不明。
いつから | 1948年版:1947刊〜 |
対象 | 刊行年の前年1-12月号掲載作品 |
編集 | 日本推理作家協会(1963〜)日本探偵作家クラブ(〜1962) |
出版社 | 講談社(1967年版:1968〜)東都書房(1962年版:1962-1966年版:1967)宝石社(1956年版:1955-1962年版:1961)岩谷書店(1948年版:1947-1955年版:1954) |
「最新ベストミステリー」(3巻本:2001〜2010 2巻本:2013~)(〜サブタイトル変遷は略〜)「最新ミステリー選集」(1-3巻:1971〜3年ごと)
「最新ベストミステリー:驚愕遊園地」「奇想博物館」2013刊から2巻の単行本(ノベルスでなくなった)。
サブタイトルは初期は毎回変わっていたりするので「光文社の3年ごとの年鑑」でいいかもしれない。いくつか持っているけど順番が全くわからないので書棚に適当に並んでいる。
1969年の3巻本は前駆的な選集(文庫版「日本ベストミステリー選集」24解説より)。
いつから | 1971刊〜 |
対象 | 刊行年の前3年分・1作家1作品 |
編集 | 日本推理作家協会 |
出版社 | 光文社(カッパ・ノベルス)→文庫化の際は「日本ベストミステリー選集」として統一 |
「本格王(刊行年)」(2019〜)「ベスト本格ミステリ(刊行年)」(2011〜2018)「本格ミステリ(刊行年):本格短編ベスト・セレクション」(2001〜2010)
いつから | 2001〜 |
対象 | 刊行前年の1-12月号発表作品 |
編集 | 本格ミステリ作家クラブ |
出版社 | 講談社(講談社ノベルス) |
SF
「年刊日本SF傑作選:(収録作の1つを表題作とする)」(2014〜2019)「年刊日本SF傑作選:(四字漢語)」(2008〜2013)
タイトルが不定なので個人的には「創元の年鑑」と呼んでいる。
いつから | 2008〜2019 |
対象 | 刊行年前年の1-12月発表作品(奥付準拠) |
編集 | 大森望・日下三蔵 |
出版社 | 東京創元社 |
エンタメ総合
時代小説
純文学
2冠以上の作品
年刊日本SF傑作選の2008-2019に合わせて同じ年の「現代の小説」「ザ・ベストミステリーズ:推理小説年鑑」「ベスト本格ミステリ」「最新ベストミステリー」(この期間に出たもの)を調べてみました。
2回以上収録
- 「早朝始発の殺風景」青崎有吾著 ベスト本格ミステリ2017・推理小説年鑑2017
- 「許されようとは思いません」芦沢央著 ベスト本格ミステリ2015・推理小説年鑑2015
- 「プロジェクト:シャーロック」我孫子武丸著 推理小説年鑑2018・プロジェクト:シャーロック
- 「線路の国のアリス」有栖川有栖著 現代の小説2014・殺意の隘路
- 「検問」伊坂幸太郎著 現代の小説2009・推理小説年鑑2009
- 「言の葉の子ら」井上真偽著 ベスト本格ミステリ2017・推理小説年鑑2017
- 「監獄舎の殺人」伊吹亜門著 ベスト本格ミステリ2016・ 推理小説年鑑2016
- 「メトセラとプラスチックと太陽の臓器」冲方丁著 現代の小説2011・結晶銀河
- 「区立花園公園」大沢在昌著 現代の小説2012・奇想博物館
- 「分かれ道」大沢在昌著 推理小説年鑑2016・現代の小説. 2016
- 「ふるさとは時遠く」大西科学著 現代の小説2012・拡張幻想
- 「髪禍」小田雅久仁著 現代の小説2018 プロジェクト:シャーロック
- 「はだしの親父」黒田研二著 本格ミステリ. 2008 推理小説年鑑. 2008
- 「青い絹の人形」岸田るり子著 ベスト本格ミステリ2013・推理小説年鑑2013
- 「冤罪」今野敏著 現代の小説2009・現場に臨め
- 「初鰹」柴田哲孝著 推理小説年鑑2008・現代の小説2008
- 「死は朝、羽ばたく」下村敦史著 ベスト本格ミステリ2015・推理小説年鑑2015
- 「ひな菊」高野史緒著 現代の小説2010・量子回廊
- 「天の狗」鳥飼否宇著 ベスト本格ミステリ2011・推理小説年鑑2011
- 「環刑錮」酉島伝法著 現代の小説2015・折り紙衛星の伝説
- 「オンブタイ」長岡弘樹著 ベスト本格ミステリ2012・推理小説年鑑2012
- 「その日まで」新津きよみ著 現代の小説2008・推理小説年鑑2008
- 「鼠でも天才でもなく」似鳥鶏著 ベスト本格ミステリ2017・推理小説年鑑2017
- 「ギリシャ羊の秘密」法月綸太郎著 本格ミステリ2008・推理小説年鑑2008
- 「理由ありの旧校舎」初野晴著 ベスト本格ミステリ2015・殺意の隘路
- 「ヴァンテアン」藤井太洋著 現代の小説2016・アステロイド・ツリーの彼方へ
- 「使い勝手のいい女」水生大海著 ベスト本格ミステリ2018・推理小説年鑑2018
- 「守株」米澤穂信著 現代の小説2019・喧騒の夜想曲(ノクターン)
というわけで二冠王は大沢在昌氏ということに。
かなり手作業の力業でやったので、もれがあるとは思います。
(国会図書館からダウンロード→Excel上で整形。個人的にはNDL-Bibが一番使いやすいのだが2020年12月に終了という……)
だいたい予想されていましたが、SF年鑑は現代の小説、ベスト本格ミステリは推理小説年鑑と重なることが多いですね。光文社の3年ごとのは基本的に推理小説年鑑とかぶらないようになってると思うので、本格か現代の小説と重なれば、かな。
(2020.02.26 重複収録について加筆)
(2020.10.31 「ベストSF」について加筆)
(2021.11.06「現代の小説」版元移動、「本格王」改題について加筆)