wonderteaのまとめ置き場

読書関係で気になったことを調べてまとめています。SF・ミステリ・眉村卓など。時々二次創作。

ドシラーン・アビー(後)

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そのころ連邦経営機構植民省ではー
「上級情報官の報告によると、1003星系周辺で独立ブロック化の機運があるとか」
司政局長は思考機関に尋ねた。

「はい。当該惑星SQ1からの定期報告には特有の要素が見られました。分析官に回したところ今後3年以内に80%以上の確率で独立要素に発展するとの意見でした」
植民省最上位のロボット官僚である思考機関は資料を示しつつそつなく答える。

「対策だが、その1003星系出身の司政官はいないのか」
「待命司政官が1人いましたが、彼は先日退職しました。同時に退職した者と結婚して家の跡継ぎになるようです。退職前にこの赴任命令を与えれば引き受ける確率は98%以上でした」
思考機関は過去の人事データを表示させた。

「ふむ、もっと早く分析できなかったのか」
「ここのところ、大型の情報分析中枢の計算資源は連邦軍の業務に優先的に回すよう命令されていましたので」

「何とか呼び戻せないのか。その結婚相手も待命司政官経験者ならちょうどいい。二人とも派遣すればよいだろう。変則的だが緊急措置だ」
「わかりました。予備役としての呼び出しを送っておきます」

数日後ー
「連邦からメッセージが来てるよ。ぼくら二人宛てだ」
「えー今さら?結婚祝いでもくれるのかしらね」
「……退職したとはいえ予備役のままだからとりいそぎ15星系に出頭しろ、とさ。どうする?」
「そうね……」

そして二人は連名で返信した。
『知らんがな』

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最初は婿どのと呼ばれるキタが見たかっただけです。いちおう途中も考えていたのですが(姉の死を巡ってミステリーっぽい展開になるとか)まとまらなさそうだったのであきらめた。

(初稿:2020/02/12)